ギャンブル依存症になると、嘘をついてまでギャンブルをするようになります。
そして、周りの人間がギャンブル依存症に対しての正しい知識を持っていないと、嘘をついてギャンブルをしている当事者のことを「嘘つき病」と捉え、適切な対応を取らずに症状を悪化させてしまうケースが多いです。
実は、ギャンブル依存症をチェックするため診断テストには【嘘をつく】という項目もあるくらい、ギャンブル依存症と嘘をつくという行為には密接な関係があるんです!
目次
嘘についての項目がある2つの診断テスト
ギャンブル依存症のチェックには「DSM-5」、「SOGS」といった診断テストが使われます。
そして、DSM-5に関しては「賭博へののめり込みを隠すために嘘をつく」、SOGSに関しては「ギャンブルで負けた時も、勝っていると嘘をついたことがある」というように、ギャンブルをするために当事者が嘘をついているかどうかを確認するための項目があるんですよ。
★ギャンブル依存症の診断テストについての詳細解説はこちら
⇒ギャンブル依存症チェック!大丈夫と思っている人ほど危険かも?!
ギャンブルをするために嘘をつくという行為は依存症の診断をするにあたってそれほど重要視されており、ギャンブル依存症の自助グループのメンバーも、口を揃えてギャンブル依存症は大嘘つきだと言っています。
ギャンブル依存当時者が嘘をつく理由
ギャンブル依存症当事者が嘘をつく理由は、単純にギャンブルをするために必要なことだから。
最初は些細な嘘かもしれませんが、ギャンブル依存症になるとギャンブルをするための時間と資金を確保するために、様々な嘘をつくようになります。
ギャンブルに興味のない人間にとってはありえないと思えるでしょうが、資金を確保するためにどのような嘘をつけばいいのかを朝から晩まで必死になって考えているんです。
もちろん、ギャンブル依存症当事者は嘘をついていることに対しての罪悪感はあります。
しかし、罪悪感よりもギャンブルをしている時の高揚感が優先され、結果的に家族や友人に嘘をついてギャンブルをすることに・・・
そして、ギャンブル依存症当事者は嘘をつくという方法以外が分からず、嘘の上にさらに嘘を塗り重ねて家族や友人にも迷惑を掛けることになってしまいます。
当事者の心理状態
ギャンブル依存症当事者が嘘をつくことの背景に、自分がギャンブルで負けていることが恥ずかしいからギャンブルをしていることを隠したいという心理が働いています。
また、
「自分はちゃんとギャンブルで勝つための研究をしているから、嘘をついてお金を借りてもすぐに返せる」
といった心理も働いている場合があるんです。
実は、ギャンブルをはじめとした依存症は「否認の病」と言われており、ギャンブル依存症の場合は自分は依存症ではない、自分は他の負け組とは違って勝つための研究をしているといった思いが、嘘をついてまでギャンブルをする正当な理由に置き換わります。
たとえ嘘をついていることがバレて突っ込まれたとしても、当事者にとっては都合のいい言い訳を繰り返してギャンブルをやり続けます。
そして、このまま症状が進行していくことで、周りの人間にとってはもはや何を考えているか全く分からない、嘘つき人間になってしまっていることでしょう。
ギャンブルをするためのありがちな嘘
・残業で帰りが遅くなった
・急な仕事が入って休日も出勤することになった
・財布を落としたからお金を貸して欲しい
・急な入院があってお金が必要
・給料の振込が遅れている
嘘と言い訳を繰り返す
ギャンブルをするための抽象的な例を5つほど挙げましたが、携帯代が払えないからお金を貸して欲しいと言って、借りたお金を全てギャンブルに使ってしまうなど、具体的な例を挙げだしたらキリがないです。
携帯代をギャンブルに使ってしまった理由を問いただしても、あと○○円足りなかったからギャンブルで増やそうとしたなど、とにかく自分の行為を正当化するための言い訳を繰り返します。
また、旦那さんのギャンブルでの借金が発覚して奥さんが夫のカードを全て解約したと思っていたところ、奥さんに嘘をついて隠し持っていたキャッシングをしていたといったケースもあり、こうなってしまうと本人の力と家族の力だけでは手に負えません・・・
嘘をつき続けた末路
ギャンブルをするための嘘はお金に直接関わってくることなので、嘘をつき続ければ当然生活を圧迫します。
生活費にも手を付けてギャンブルをするだけでなく、借金をしているのに嘘をついて借金を重ねるのは当たり前。
さらにギャンブル依存症の症状が進行することで、窃盗や会社のお金を横領するといった犯罪を犯してまでギャンブルをすることも・・・
犯罪を犯してまでギャンブルをしたいという心理は到底理解できないかもしれませんが、ギャンブル依存症になると理性のコントロールが効かなくなってしまうので、ギャンブルのことを考えると正常な判断ができなくなってしまうんです。
また、先述の通りギャンブル依存症当事者は嘘をついているという自覚はあるので、自分は大切な人間に嘘をついてしまったという罪悪感からうつ病を発症し、自殺願望が芽生えてしまうこともあります。
当事者にできる対応
嘘をついてまでギャンブルをやり続ける当事者にできる対応は、ギャンブル依存症の治療を専門とする医師の診断を受けて、適切な対応をアドバイスしてもらってそれを実践すること。
また、病院への通院と並行して、ギャンブル依存症の自助グループに通わせることが重要です。
★全国のギャンブル依存症の治療ができる病院
⇒ギャンブル依存症の治療ができる病院【全国版】
★ギャンブル依存症の自助グループGA(ギャンブラーズ・アノニマス)について
⇒ギャンブル依存症の自助グループGA(ギャンブラーズアノニマス)とは?
ギャンブル依存症という病気についての知識がないと、
「次に嘘をついたら絶対に許さない」
というように、高圧的・強制的に嘘を抑え込もうとしがちです。
しかし、実はこういった対応はギャンブル依存症の治療には逆効果となることが多く、当事者にとっては精神的な苦痛となって症状がさらに悪化してしまう可能性があるんですよ。
間違った対応をキッカケにして深刻な問題に発展してしまう前に、まずは自助グループへの参加や専門家の診断を受けされることを強くオススメします。